ダンジョンキーパー

俺は芸術家だ。世界最強の芸術家だ。
俺に勝てる者などいない。
のんきに暮らす人間共は俺の芸術の前に
なす術もなく苦しみ死んでいくのだ。

俺の芸術、それはダンジョンだ。
俺が作るダンジョンには人間共、
そして同業者をブチ殺す最高の仕掛けが
いたるところに散りばめられている。

………、さっそく人間共が俺のダンジョンに入ってきやがったな。
どうやら偵察隊のようだ。
まずはこいつらから血祭りにあげてやろう。
インプよ! 奴らの近くまで穴を掘れ!
………何をもたもたしている! さっさと掘らぬか!
言う事を聞かぬやつはこうだ!

バシッ!! 「キー!」

フン、低脳どもめ、わざわざ痛い目に遭わなければ働かないとはな。

よし、奴らの近くまで穴を掘ったな。
むっ、奴らも穴を掘って来やがったか。
穴が繋がってしまった。

「キー!」

インプめ、人間共を見て逃げ出しやがった。
まあいい、インプは戦闘力がないからな。
さあここからがお楽しみだ。
人間共め、別のインプに仕掛けさせておいた罠を受けるがいい。

シューーー!! 「ギャアァァァァァァァ!!」

ハハハハハッ!! どうだ毒ガスの味は!

ドガガガガガン!!! 「ウグアアアァァァッッ!!」

そこを踏むと電撃が飛び出すのだよ! クックックッ!

………、なんだ、もう死んだのか。つまらん。
いや、どうやら人間共の本隊が来たようだ。
今度は楽しませてくれよ。
さあ、行け我が下僕共よ!

………、どうしたさっさと行け!
何? 寝床を作れだと!? ふざけるな!
………、待て! 魔界に帰るな!
分かった。寝床を作ろう。
何? 給料をよこせだと?
むむむ、仕方ない。よかろう、くれてやる。
何? 図書館が狭すぎるだよ?
貴様ら言いたい放題言いやがって!
しかし罠はもうほとんど残っていないし、
今こいつらに去られるとちと困るな。
とりあえず、こいつらの要求は飲んでおくか。
まあ用済みになればクビにすればいいことだ。クククッ。
さあ人間共よ、我が下僕の歓迎に応えられるかな?

「化け物め! 出やがったな!」
「ブシューー!!」
「正義の名の元に貴様らを葬ってやる!」
「ケーケケケケケケ!」

ほう、人間共め、我が下僕相手になかなかやるな。
おい、インプ! そこらに転がっている人間の死体を
1匹かっさらって墓場に転がしてこい!

「キー!」

あの墓場はただの墓場ではない。
置かれた死体はバンパイアとなって蘇るのだ。
人間共はかつての戦友が変わり果てた姿となって
牙を剥き出し襲いかかってくるのを目にして戦慄することだろう。
まったく俺は最高の芸術家だ!
………金はかかるがな。

「邪悪な者共め! 私がこの世から抹殺してやる!」

何だ、やけに威勢のいい奴が現れたと思ったら
このあたりの人間共の巣を支配しているロードか。
人間の分際で大口を叩きやがる。
まずはロードの取り巻きから始末してやろう。

ゴロゴロゴロゴロ 「ギャア!」「キー!」「ウグエッ!」「ブボボボ!」

どうだ巨大の岩に潰される気分は。
うっかり配置を間違えて下僕共も一緒に潰してしまったがまあいい。
代わりはいくらでもいる。

ロードめ、俺がいる場所を知っているのか、
一直線にこちらに向かって来やがる。
だが簡単には進めんぞ。
頑丈な魔法の扉を壊せるかな?

クックックッ、どうやら扉が壊せなくて手間取っているようだな。
さあ下僕共よ、奴らを殲滅しろ。
だがロードは殺すな。生け捕りにするのだ。

ハッハッハッ! 残念だったな人間共。
その扉を抜ければ私がいたというのに。
良い悲鳴だったぞ。
さて、ロードは生け捕りにしたな。
よし、拷問室に連れて行け。
今日のディナーはロードの拷問を見ながら頂くとしよう。

俺の作るダンジョンは無敵だ。
侵入すれば死が待っている。
地獄の洞窟を創造する最強の芸術家、
それがダンジョンキーパーだ!

 

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