アウターワールド

まだ私がポリゴンというものをこの目で見たことがなかった頃、
スーファミ初のポリゴンゲームというものが発売されました。
ポリゴン! なんか流行ってる! モテっぽい!
私はポリゴンへの印象といいますか、
よく知らないのでなんかすごそうだ、としか思っていませんでした。
そして私はそのゲームをファミ通のクロスレビューで初めて知りました。

ゲームの名は「アウターワールド」
洋ゲーをスーファミへ移植したものです。
ファミ通のレビューでは珍しく評価が二分されていました。
「難しすぎる」「いやいや、斬新だ」
私は画面写真を見て非常に興味が沸きました。
今ではとても綺麗とは言えないカクカクのポリゴングラフィックですが、
当時の私にとってはとても新鮮に見えたのです。
よし、買おう。よし、買ってきた。

さあて、ゲームスタートだ!
おおっ! オープニングで車が回転してる! スゴイ!
感動だ! 感動をありがとう!

お礼を言うのが早過ぎました。

ゲームが始まるといきなり水の中に放り込まれ、
下から伸びてきた藻に襲われて死にました。
この間、5秒。

ここではすぐに上を押して水から出ないといけないのです。
ゲームスタートしてから何もしないと死んでしまう、
その死ぬまでの時間はトランスフォーマーと良い勝負です(アレも無茶苦茶)。

さて、水から出ると何やら不思議な渓谷っぽいとこに出ます。
左は崖なので右に走ることにします。
するといきなりほとんど見えない大きさのヒルみたいな生物に
足を刺されて死にました。
ズビョエアーーーン!(ゲームオーバーの音)

ところで、このゲームは完全な横スクロールの2Dアクションです。
「ならポリゴンじゃなくてもよいではないか。近う寄れ。」
と思われるかもしれませんが、
まあ実験的な意味が強い(と自分では思っている)ゲームなので
それはそれでいいと思います。
ポリゴンのせいでヒルが全然見えないんですけど、
まあそれも置いておきましょう。

さて話を戻しまして、ヒルをしゃがみキックで潰します。
恐らく、しゃがみキックなんてここでしか使わないでしょう。

ヒルを潰して先に進むと突然猛獣が襲ってきます。
猛獣といっても何の獣か分かりません。真っ黒のシルエットのみです。
その猛獣、シルエットのままこちらに走ってきますので
急いで逃げねばなりません。

反対方向に走りまくると、さっきの崖まで来てしまいます。
どうする! このままだと食い殺される!
すると崖の先に植物のツルが!
これだ! と思った私はその垂れ下がっている1本のツルに飛び移りました。
そしてツルは私が飛び移った反動でブラーーンと動いて
猛獣の頭を越えて反対側まで行ってしまいます。

ツルから飛び降りた私はそのまま右へ走ります。
また後ろからさっきの猛獣が!
まずい! 追いつかれる!
必死で走る私は「何か」にぶつかり、跳ね飛ばされました。
その「何か」は人型で手にレーザー銃を持っています。
そしてそのレーザー銃が猛獣を一撃で仕留めました。
「何か」は人型ではあるものの、頭は毛むくじゃらで人間には見えず、
どうやらこの世界の住人のようです。

とにかく、助けてくれたお礼をしたいので私は起き上がって挨拶します。

「ハアイ!」

その瞬間、私は撃たれました。

…………どうやら私はまだ生きているようです。
モテモテ王国のファーザー並の平行四辺形の目を開け、
周りを見ると私は空中に吊らされている檻の中。
檻には私の他にもう一人、同じくこの世界の住人のようですが、
さっきの者とは違うようです。

すると下から声が。

「アガシダ! アガシダ!」

どうやらさっき私を撃った者のようです。
よく分かりませんが、檻に閉じ込められて腹が立つので暴れてみます。

「アガシダ! アガシダ! アガシダ!」

どうやら怒っているようです。銃も撃ってきました。
そのとき、急に檻が落ちて下で騒いでいたやつらは下敷きになりました。

………、とまあ、ゲームはこんな感じです。
アウターワールドってくらいですから不思議な世界なのです。
最初のうちはイベントが多いのですが、途中から死にまくります。
最初の溺死、ヒルに刺されて死、の他、
銃撃戦に負けて死。転落死、ダムを破壊して水に呑まれて死、
敵の人質を殺してしまって死、正体不明の生物に触って死、など
とにかくバラエティに富んだ死因が楽しめます。

というか、難しすぎだ。

 

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