天地を喰らうを振り返って

 

天地を喰らうとは、本宮ひろ志氏のコミックである。

三国志演義が舞台となっているが、なんというかもう無茶苦茶である。

私も少ししか読んでいないのだが、本宮ひろ志ワールドが炸裂していた。

三国志の武将はほとんど出てこず、龍とか鬼とかそんなんばっか出てくる。

これから三国志の世界を知ろうとしておられる方はこの本を最初に読んでしまうと、

かなり歪曲した世界観を植え付けられてしまうため、

ある程度耐性がついてから読んで欲しい。

 

さて、このコーナーではこの天地を喰らうのゲーム版についていろいろと語っていこうと思う。

このゲーム版はカプコンが発売している。

なにを思ったか、カプコンはこの天地を喰らうを

ファミコンで2作、スーファミで1作、アーケードで2作と計5作も出しているのだ。

なぜカプコンはここまで力を入れていたのか。

ではその素晴らしい作品たちを振り返っていこう。

あと今回はなんかフォントの拡大を多用してみた。

 

ファミコン版 天地を喰らう

ファミコン版はRPGである。よく三国志の世界をRPGにすることを思いついたと思う。

出来はかなりいい。原作の雰囲気を全く無視し、

ゲーム性を追求しているところに非常に好感が持てる。

主人公の劉備が関羽、張飛と義兄弟の契りを交わし、

黄巾賊を討伐するところから話は始まる。

このゲームは兵士数がHPに相当する。

HPと違うところは値が大きければ攻撃力も増加するということだ。

したがって、どんなに武力の高い武将でも、兵士数が少なければ、

何の役にも立たないということである。

だが、この攻撃力の決め方が結構アバウトで、

兵士の桁数で決めているのだ。

つまり、10人→100人→1000人→10000人

という区切りで攻撃力がになっていく。

よって兵士9999人と兵士10000人では、攻撃力が倍違うのだ。

その一人は一体何者でしょうか。

また、知力型の武将は魔法に相当する策略で戦う。

相手を攻撃する火計、水計や兵士数を回復する回復の計、

さらに敵将を暗殺したり、敵の攻撃を全て無効化したり、

やりたい放題である。

このゲームはRPGなのでレベル上げが必要である。

普通にフィールドを歩いていると、盗賊などが出現するので

こいつらを倒して経験値を稼ぐ。

たまに夏候惇とか、紀霊とか、甘寧とかが出てくるが

経験値をがっぽり持ってるのでとっとと倒してしまおう。

倒した後、金を渡せば簡単に仲間になるが、

仲間にしないとこれからも敵として出てくるので、

何度も倒して経験値の糧にしよう。

一番すごいのは、フィールドのある地点では、

山賊が一度に20万人ほど出てくることである。

いくら中国の人口が多くても、これはやり過ぎである。

ところで、先にも述べたが主人公は劉備である。

三国志演義では、劉備は蜀を建国するが、志半ばで倒れてしまう。

だが、天地を喰らうではそんな事は一切無視である。

劉備軍は黄巾賊を滅ぼしたあと、董卓を滅ぼし、袁術を瞬殺し、

ついでに袁紹も倒す。劉障を討ち取って蜀を得たあとは

呉の孫権が攻め込んでくるので、そのまま国ごと返り討ちにし、

魏の曹丕を倒して、最後に現れた司馬懿を葬って天下統一である。

完璧な作戦である。現実でもこうやっていれば

蜀の天下は間違いなかっただろう。

 

ファミコン版 天地を喰らうII 諸葛孔明伝

 

私は天地を喰らうシリーズでこれが一番の最高傑作だと思っている。

前作のシステムを継承し、さらに楽しめる内容となっている。

前作はレベル上げと城攻め中心だったが、

今回はストーリー重視の部分もあり、イベントが多い。

前作より遥かに三国志演義の世界に近くなっているが、

結局最後は司馬懿を葬って天下統一である。

そんなに司馬懿が憎いのか。

サブタイトルで諸葛孔明伝とある通り、

このゲームでは蜀の軍師、諸葛亮が大活躍する。

とにかく、べらぼうに強いのである。

最前線で策略を使いまくれば、敵なしである。

策略の数も大幅に増え、火計、水計に加え、

落石で攻撃したり、敵を混乱させたり、敵を寝返らせたり、

敵が出現しないようにしたり、ダンジョンを脱出したり、

今回もなんでもアリである。

また、今回新たに陣形という要素が加わった。

味方全員の素早さが上がる白馬の陣。

攻撃力が倍になるが、防御力は皆無に等しい背水の陣。

味方5人のうち、1人を除いて攻撃を食らっても、

ダメージをそのまま敵に返す八卦の陣などがある。

陣形は好きなときに組めるため、

非常にリーズナブルである。

文句無くおすすめのゲームだ。

 

スーパーファミコン版 天地を喰らう 三国志群勇伝

私はこのゲームだけはほとんどプレイしていない。

というより、プレイする気になれなかった。

なんせ、ただのシミュレーションゲームなのだ。

ごくごく平凡な出来となっている。

本宮ひろ志である必要性が全くないのである。

光栄みたいにやりたかったのか。

私はぜひRPGでやりたかった。

 

アーケード版 天地を喰らう 

本宮ひろ志氏の世界観に一番近い出来といえるのがこのアーケード版。

横スクロールのアクションゲームである。

プレイヤーは劉備、関羽、張飛などから一人選び、

一人で黄巾賊と董卓軍を滅ぼす。

ゲームを始めると前方からわらわらと蟻のように

敵が出てくるのでボタンを連打して消していこう。

耐久力のある敵にはボタンを押しっぱなしにすると

溜め撃ちができるので、それで排除しよう。

見所は音声である。ストIIを作ったところとは思えないくらい

セリフが棒読みなのである。

「敵将張角、討ち取ったりぃー。」の決めゼリフは

誰が聞いても明らかに社員である。

 

アーケード版 天地を喰らうII 赤壁の戦い

アーケード版の二作目は曹操が相手である。

またもや一人で敵陣に突っ込む劉備軍。

オープニングで孔明は「私に策があります。」とか言っているが、

結局全て武力で解決している。

今回は敵の死に様に力が入っている。

馬に乗って刀を振り回しながら敵に突っ込むと、

やられた敵は胴が真っ二つとなって朽ち果てるのだ。

特に張飛などは敵を殴っただけで体を爆破することができる。

必殺技でとどめをさした時も、頭が吹っ飛んだりして

これこそ本宮ひろ志ワールドの真骨頂

といえる作品である。

また、このゲーム、ボス敵が異常。

まず、身長が3メートル以上あり、50メートルの距離をジャンプしたり、

炎を吐いたり、20メートルほどの槍を振り回したり、

人間と戦っているのを忘れるくらいだ。

まあ、そこがいいのだが。

 

さわりだけ紹介したがどうだったであろうか。

少しは興味が引かれたであろうか。

もしそうなら是非一度プレイしてみることをおすすめする。

「うぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬううううううーーーーっっ!!」

とか絶叫しながらプレイするのが正しい作法である。

 

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